子どもが巣立ったあと、夫の隣にいるのがこんなに寂しいとは思わなかった

子育てが終わって、ようやく自分の時間が戻ってきたはずなのに、夫との静かな空気感が重く感じる。気づけば、自分が誰かの妻でも母でもなく、ただの同居人になっていた。

そんな感覚を抱えている既婚女性は、決して少なくありません。

今回お話を伺ったサチコさん(仮名)も、その一人です。

末っ子が家を出たあと、夫婦二人の生活に戻れば何かが変わると思っていた。でも現実は、食卓の沈黙と名前すら呼ばれない日々。

「私はもう、夫に女としては見てもらえないのかな。」そう感じ始めていたサチコさんが、既婚者クラブを通じて少しずつ自分を取り戻していった体験をご紹介します。

ペンネーム サチコさん(仮名)
年齢 50歳
職業 パート勤務(受付職)
家族構成 夫あり・子どもは独立
悩み 子どもの独立後、夫から女性として見てもらえず、同居人のような日々が続いていた
利用目的 女性として認めてもらえる相手、もう一度ときめける出会いを探すため

子どもが独立してから妻ですらなくなっていた

子どもが独立したら、夫婦二人でゆっくりできる時間が来る。本当にそう思ってたんです。

でも、末っ子が家を出た翌月から、夕食のとき、テレビをつけてないとお味噌汁をすする音だけが響くようになりました。人はいるのに妙に静かで、物音だけが大きく聞こえてきたのを覚えています。

夫にその日見たお昼のバラエティ番組の話をしてみても「ふーん」って返事だけしか返ってこず。何度話しかけてもリアクションはしてくれませんでした。

一度「ねえ、もう少しちゃんと話さない?」って聞いたら「何を話すんだよ、別に話すことないだろ」って言われて終わりでした。

朝お茶碗を出してたら「おい、しょうゆ」って言われて。「え?私しょうゆって名前じゃないんだけどな」って思いながら渡すんです。

美容院でかなり髪を短く切って帰ったときも、とくに何も言われませんでした。

夫婦の営みも、もう何年もありません。夫にとって私は、きっと家政婦か同居人かせいぜいその程度。ちょうどよく家事をやってくれる人としては必要でも、女性としてはもう必要とされてない。そのギャップが地味につらかったです。

ママ友がそっと教えてくれた既婚者クラブ

転機になったのは、子どもが小学校の頃から付き合いのあるママ友とのランチでした。

学生時代の友人には笑い飛ばされて終わった家庭の話を、なぜかその日は彼女に打ち明けてみたんです。「夫といても孤独だ、女性として見られてない気がする」って。

そしたら彼女が、ちょっと迷った顔をしてから「私も同じだった時期があってね、実はね」って切り出して…。そのとき教えてくれたのが、既婚者クラブでした。

「家庭がある人同士が登録できるサービスで、同じような気持ちの人がいて、少し話してみると気晴らしになるよ」って。

もちろん抵抗はありました。不倫って言葉が頭をかすめるし。でも、それ以上に怖かったのは、誰にもときめかないままおばあちゃんになっていくこと。最後にもう一度だけ、女性として扱われたい。そう思っちゃった自分を、もう否定できなかったんです。

登録して気づいた、合わない人との温度差

登録してすぐ、いろんな方からメッセージが来ました。最初は来たものに丁寧に返してた感じです。

でもしばらくすると、これは合わないなって感じる方が出てきて。

2、3回やり取りしただけで会ったこともないのに「写真送って。顔がはっきりわかるやつが見たいな」って要求してくる人。中には「奥さんとは仮面夫婦だから罪悪感持たなくていいよ。大人の関係から始めましょう」って最初のメッセージで切り出してくる人もいました。

私が求めてたのは、そういうものじゃない。読むだけで気持ちが重くなりました。

逆に、文章は丁寧なのに2、3日のうちに「LINE交換しませんか、電話で声聞きたいです」って急に距離を詰めてくる方もいました。50にもなっていきなり知らない男性と電話で話すのはやっぱり怖くて。もうやめようかな、って思った夜もありました。

それでも一人だけ特別に感じる人がいた

そんな中で、一人だけなぜか特別に感じる方がいたんです。同年代で、奥さまとの関係に悩みを抱えてて、メッセージの言葉選びが丁寧な人でした。

彼は最初のメッセージから「会いましょう」とも、「写真をもっと見せてください」とも言わなかった。プロフィールを読んでくれたうえで「子どもが独立してから生活のリズム変わりましたよね、僕も実は同じで」って書いてくれてて。たわいない近況のやり取りが、しばらく続きました。

ある日、「サチコさん、優しそうな人ですね」って言われたんです。たったそれだけで、心臓が跳ねた。次の日新しい服の話をしたら「絶対に似合いますよ」って返ってきて。

そんな言葉、夫からは何年もまともに言われた覚えがないかもしれません。

50歳でまたデート前に服を選ぶなんて思わなかった

それから、毎日通知を待つようになりました。これまで身だしなみは人並みに整えてきたつもりだけど、それは自分のため。

でも今度会うときはどのワンピースにしようかって、誰かに見せるための時間が増えていったんです。新しい色のリップを買って、鏡の前で笑ってみたりして。

初めて会う日の朝は、夫に「今日はあの友達と会うから遅くなる」と伝え、いつも通り夫のお弁当を作りました。洗濯機を回して、ゴミ出しや掃除をして、普段以上に家事をしっかりしたんです。じゃないと後ろめたさが余計に増す気がして…。

そんな気持ちもあるのに、普段使わない香水を引っ張り出して「つけすぎたかな」って、駅のトイレで少し落としたりもしていました。

駅の改札で彼を待ってるとき、心臓の音が聞こえそうなくらい緊張しました。彼は私を見つけて、笑顔で「写真より素敵ですね」って言ってくれたんです。お世辞かもしれない。それでも、その一言で胸の奥が温かくなった。

横浜駅の近くのカフェでお茶するだけのつもりだったのに、話が尽きなくて「夜景がきれいなところに行きませんか?」って誘われました。気づけば日が落ちて、みなとみらいにまで行って、二人並んで景色を眺めてました。

ふと彼の手が私の手にかすかに触れて、触れただけなのにドキッとして何も言えなくなりました。

帰りの電車の中で、まだ「こんな感情が自分の中に残ってたんだ」って思いました。涙が出そうになるのを、必死でこらえて。

それでもデートの翌朝は罪悪感が押し寄せてきた

家に帰って、夫がいつものようにテレビ見てる横顔を見たとき、急にぞわっとしました。「私今日何やってたんだろう」って。

夫はいつもどおり「おかえり」とも言わずにテレビ見てるだけで何も気づいてない。

気づかれなくてホッとした一方で、少しだけ苦しくなりました。

翌朝、彼から「昨日は本当に楽しかったです」ってメッセージが来ました。でも、その日は返事を打つ気になれなかった。スマホを見ては閉じて、洗濯物を干して、また見ては閉じて。

結局返信したのは次の日の夕方になってからです。「私もです、楽しかったです」ってたった一行。それだけ打つのにも、何度も書いては消してを繰り返しました。

罪悪感はあったけれどやり取りは辞められなかった

罪悪感はありました。でも「彼からの連絡が止まったらどうしよう」っていう不安のほうが強かったんです。

それからの気分は、波がありました。毎日嬉しくて仕方ない日もあれば、夫が珍しく「今日のご飯おいしいな」ってぼそっと言った日には、急に申し訳なくなってメッセージを返せない日も…。

スーパーで安売りの鶏肉を買って「明日のおかずどうしよう」って考えてる自分と、彼に今度はどこで会おうって思ってる自分。同じ一人の人間なのに、まるで二人いるみたいでした。

先日も、電気代の請求書を見ながら夫が「最近高いな、節電しろよ」って言ってきて。私はもう何年もエアコンの設定温度だって気にして暮らしてきたのにカチンと来て、つい「私だって気にしてるよ」って強めに返しちゃったんです。「そしたら、なんだよその言い方」って。それで終わり。

会話とも言えないやり取りで、お互いまた黙り込むだけ。そういう夜は、彼とメッセージをすることで、なんとか気持ちを保っていました。

少しずつ彼からの連絡頻度が減っていった

そんなふうに、私のほうは彼のメッセージで毎日をなんとか支えていたのに、いつからか、彼からの連絡頻度が少しずつ減っていきました。

最初は毎日のように来ていたメッセージが、2日に1回、3日に1回になっていく。気にしないようにしようと思ったんです。「お互い家庭があるし、忙しい時期もあるよね…」って。でも、通知がないと気づいてからの1日が、妙に長く感じるようになりました。

私から「最近どうしてますか?」って送ると返信は来る。でも、前みたいに「サチコさんと話してると癒される」みたいな言葉はもうなくて。

「すみません、ちょっと仕事が立て込んでて」みたいな感じで終わることが増えていきました。

それでも、私のほうは引けなくなっていました。

返事が遅い彼に長文を送ってしまったり「また会えませんか」ってこちらから誘ってしまったり。

送ったあとに「しまった、重かったかな」って後悔して。スマホを伏せて置いて、それでも数分後にはまた裏返して。既読がついてないか確認してる自分が、情けなくなりました。

連絡が来なくなった朝は思ったより苦しかった

会う約束だけが、どんどん先延ばしになっていきました。「来週どうですか」って聞いても「また連絡します」って。「じゃあ再来週は」って聞くと「もう少し落ち着いてから」って。落ち着いてからっていつなんだろうって思いながら、それ以上は聞けませんでした。

次に会うときのために買ったワンピースも、クローゼットにかけたまま。準備だけしてる自分が、だんだん惨めに思えてきて。

そしてある朝、相手からブロックされていることに気づきました。

「別れます」とも「もう会えません」とも何も言われてない。ただ、フェードアウトされたっていう感じ。一番つらい終わり方かもしれません。

「ああ、もう終わったんだな」って自分で受け入れるまでに、思ったより時間がかかりました。でも、不思議と恋をしていた期間の自分を否定する気にはなれなかったんです。

楽しかったのは本当だし、苦しかったのも本当。両方が同じくらい、私の中に残ってます。

既婚者クラブに登録したことは後悔していない

彼と終わったあとも「登録しなければよかった」とは一度も思いませんでした。もちろん落ち込んだ時間が長かったので、そのあとすぐに他の人とメッセージをすることはありませんでしたし、アプリを開くこともしませんでした。

でも、誰かを好きになる感情が自分にまだ残ってた。それを知れただけで十分なんです。家庭しか世界がなかった頃の自分には、もう戻れないと思います。

しんどかった時期もありました。でも、普段のしんどさとは違って、誰かとちゃんと話して気持ちが動いたのが久しぶりで。夫の隣で何も感じずに何年も過ごしてきたあの頃と比べたら、ずっと生きてる感覚がありました。

将来のあり方を改めて考えるようになった

今は少し時間が経って、また既婚者クラブを開くようになりました。

今度は前みたいに焦って誰かに依存するんじゃなくて、もう少しゆっくり、自分に合う人を探してます。

最近は離婚っていう選択肢も、前よりは現実的に考えるようになりました。すぐに動くつもりはありません。でも、夫と一生このまま無言で過ごしていく前提で「自分の人生を諦める必要はないんじゃないか」って思えるようになったんです。

子どもたちが落ち着いてきたら、ちゃんと自分の人生を選び直してもいいのかもしれない。そう考えるだけで、不思議と気持ちが軽くなります。

最後の恋みたいなものを、どこかでまだ探してる自分がいる。「50を過ぎても、人を好きになる気持ちは終わらないんだな」って思えるようになりました。

サチコさんのように、夫から女性として扱われない毎日が苦しいと感じている既婚女性は決して珍しくありません。

既婚者クラブは、家庭を壊すための場所ではなく、孤独や寂しさを埋め、自分自身を取り戻すための場所です。自分はもう手遅れかもしれない、と感じている方こそ、まずは体験談を読むところから、そっと一歩を踏み出していただけたらと思います。

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