結婚して夫婦になったら一緒に暮らす──誰もが当たり前と感じていることが、当たり前ではなくなってきています。
さまざまな結婚の形が登場している昨今、「別居婚」という形を取る人や、別居婚に興味を持つ人が増えています。
そこで、既婚男女3,000人に「別居婚」に関するアンケート調査を実施。実際に別居婚を経験した人がどれくらいいるのか、不満や良かった点などを聞きました。
また、10代・20代の若者は別居婚についてどう考えているのかも調査。未婚男女3,000人を対象にしたアンケート調査もあわせてご覧ください。
調査期間:2024年9月3日~2024年9月3日 調査対象:全国の30歳~59歳以下の既婚男女 調査方法:インターネット(アンケートサイトFreeasyを利用) 調査エリア:全国 有効回答数:3,000(男性:1,644人・女性:1,356人) │30代…572人 │40代…1,049人 │50代…1,379人 |
まず、既婚男女3,000人(男性1,644人・女性1,356人)に対し、別居婚をしたことがあるかどうかを聞きました。
別居婚を「したことがある」と回答したのは、男女合わせて295人(男性190人・女性105人)で、全体の9.83%でした。つまり、約1割の既婚男女が別居婚を経験しているということです。
<男女別の調査結果>
男女別では、男性のほうが別居婚を経験した人が多くなりました。既婚男性1,644人中190人(11.6%)が別居婚を経験しており、女性よりも高い割合になっています。
<年代別の調査結果>
別居婚の割合がもっとも高かったのは30代で、572人中72人(12.59%)でした。40代、50代と年代が上がるにつれて別居婚を経験した人の割合は低くなっています。
| 別居婚したことがある | 別居婚したことがない |
全体 | 295人(9.83%) | 2,705人(90.17%) |
30代(572人) | 72人(12.59%) | 500人(87.41%) |
40代(1,049人) | 101人(9.63%) | 948人(90.37%) |
50代(1,379人) | 122人(8.85%) | 1,257人(91.15%) |
「別居婚をしたことがない」と回答した既婚男女2,705人(男性1.454人・女性1.251人)に、別居婚をしてみたいかどうかを聞きました。
「別居婚してみたい」と回答したのは2,705人中569人(21.04%)。別居婚の経験がなくても、約2割の人が別居婚に興味を持っていることがわかりました。
<男女別の調査結果>
「別居婚してみたい」という回答は、男性が1.454人中208人(14.3%)、女性が1,251人中361人(28.9%)で、女性が男性を大きく上回る結果になりました。「別居婚してみたい」と回答した割合では男性の倍となり、別居婚に対して前向きに感じている人が多い結果になっています。
<年代別の調査結果>
「別居婚してみたい」の回答がもっとも多かったのは50代(1,257人中282人)でした。実際に別居婚を経験している割合が高いのは30代でしたが、実際には別居婚に前向きではない可能性があります。一方、30代に比べて結婚生活を長く送っている40代、50代のほうが別居婚に前向きであることがわかりました。
| はい(別居婚してみたい) | いいえ(別居婚したくない) |
全体 | 569人(21.04%) | 2,136人(78.96%) |
30代(500人) | 80人(16%) | 420人(84%) |
40代(948人) | 207人(21.84%) | 741人(78.16%) |
50代(1,257人) | 282人(22.43%) | 975人(77.57%) |
年代別では40代・50代が、性別では女性のほうが別居婚に意欲的であることからも、結婚生活に何らかの不満を抱えていたり、一人の時間を過ごしたいと考えていたりすると考えられます。
「別居婚をしてみたいと思いますか?」の設問で、「いいえ(別居婚したくない)」と回答した既婚男女2,136人(男性1,246人・女性890人)に対し、なぜ別居婚をしたくないのかを聞きました。(複数回答可)
もっとも多かったのは「一緒に生活したいから(1,107人)」という回答、次いで「別居だと結婚する意味が感じられない(1,041人)」と続きます。
結婚する人(好きな人)とは生活をともにしたいと感じる人が多いこと、また結婚したら同じ家で暮らすのがセオリーだと考えている人が多いこともわかりました。また、「寂しいから(455人)」という回答も。
<男女別の調査結果>
「一緒に生活したいから」を選んだのは、1,107人中男性689人(55.3%)・女性418人(46.97%)。「別居だと結婚する意味が感じられない」を選んだのは1,041人中男性609人(48.88%)・女性432人(48.54%)でした。いずれの選択肢も、性別で大きく変わった点はみられません。
その他の回答では男性は「費用面」を、女性は「子育て」に関する意見が多く寄せられました。
<年代別の調査結果>
別居婚をしたくない理由として「寂しいから」と回答したのは30代が最多に。その他の選択肢では、大きな差はみられませんでした。
| 30代(420人) | 40代(741人) | 50代(975人) |
一緒に生活したいから(1,107人) | 223人 (53.1%) | 374人 (50.47%) | 510人 (52.31%) |
別居だと結婚する意味が感じられない(1,041人) | 208人 (49.52%) | 353人 (47.64%) | 480人 (49.23%) |
寂しいから(455人) | 112人 (26.67%) | 160人 (21.59%) | 183人 (18.77%) |
その他の回答では、30代は「子ども」に関する理由、40代は「費用面」に関する理由がそれぞれ多くなっています。また、50代は「特に別居する理由がない」という意見が多く寄せられました。
「別居婚をしてみたいと思いますか?」の設問で、「はい(別居婚してみたい)」と回答した既婚男女569人(男性208人・女性361人)に対し、なぜ別居婚をしてみたいと思うのか理由を聞きました。(複数回答可)
回答で最多だったのは「ほどよい距離感で過ごせそうだから(486人)」でした。次いで多かった「相手との生活リズムが合わないから(170人)」を大きく離した結果です。その他、「マンネリ化を防ぎたいから(105人)」「単身赴任や転勤があるから(30人)」と続きました。
<男女別の調査結果>
最多回答の「ほどよい距離感で過ごせそうだから」は、回答者486人のうち男性170人・女性316人という結果に。「相手との生活リズムが合わないから」についても、回答者170人のうち男性68人・女性102人で、女性のほうがパートナーと一定の距離を置きたいようすがうかがえます。
「マンネリ化を防ぎたいから」は、回答者105人のうち男性59人・女性46人と、男性が女性を上回る結果になりました。
また、その他の意見は38人中女性の回答が29人という結果に。「喧嘩」「イライラ」「自由」など、一緒にいてストレスを感じたくないという回答が目立ちました。
<年代別の調査結果>
いずれの選択肢も、30代の回答率がもっとも高くなりました。特に、「マンネリ化を防ぎたいから」を選んだ30代は80人中18人(22.5%)で、40代(17.87%)や50代(17.73%)を大きく上回っています。
一方、「その他(自由記述)」は、30代6人・40代15人・50代17人と、年代が上がるにつれて回答者が増える傾向に。「互いのこだわり、ケンカすらならない会話の打ち切られをなくしたい(愛知県・50歳・女性)」「イライラを解消したいから(北海道・44歳・女性)」など、生々しいコメントが寄せられました。
「別居婚をしてみたい」と回答した既婚男女569人(男性208人・女性361人)に対し、別居婚に踏み切らないのはなぜかを聞きました。(複数回答可)
最多回答は「経済的な理由(289人)」でした。内訳は、男性91人・女性198人。次いで、「子どもに悪影響が出そうだから(191人)」「パートナーに否定された(されそう)(127人)」「すれ違いが増えそうだから(63人)」と続きました。
<男女別の調査結果>
男性208人・女性361人と回答者数に偏りはあるものの、選択肢の順位はほぼ同じでした。ただ、「その他(自由記述)」の回答があったのはほとんどが女性。27人中23人で、別居婚に踏み切らないリアルな声が寄せられました。
<年代別の調査結果>
30代(80人)でもっとも多かった回答は「子どもに悪影響が出そうだから(36人・45%)」でした。次いで、「経済的な理由(27人・33.75%)」「パートナーに否定された(されそう)(26人・32.5%)」がほぼ同率。
40代(207人)は「経済的な理由(96人・46.38%)」が最多で、次に「子どもに悪影響が出そうだから(81人・39.13%)」でした。
50代(282人)は「経済的な理由(166人・58.87%)」を選んだ人が半分以上でした。
続いて、別居婚を経験した(している)人についてまとめます。
「別居婚をしたことがありますか?」の設問で「ある」と回答した既婚男女295人(男性190人・女性105人)に対し、なぜ別居婚をしたのか聞きました。
男女ともにもっとも多かったのは「仕事を優先したかったから(104人)」でした。僅差で「お互いに自由でいたかったから(94人)」と続き、その後は「生活リズムが異なるから(64人)」「地元に残りたかったから(52人)」などの理由が選ばれています。
<男女別の調査結果>
男性(190人)は「お互いに自由でいたかったから(67人・35.26%)」「仕事を優先したかったから(66人・34.74%)」、僅差で仕事よりも自由さを優先させる回答が多くなりました。
一方、女性(105人)は「仕事を優先したかったから(38人・36.19%)」がトップに。
<年代別の調査結果>
30代(72人)は「仕事を優先したかったから(33人・45.83%)」がもっとも多い結果に。次いで「お互いに自由でいたかったから(23人・31.94%)」と続きます。
40代(101人)は「お互いに自由でいたかったから(41人・40.59%)」が、50代(122人)は「仕事を優先したかったから(40人・32.79%)」がそれぞれトップでした。
50代はその他(自由記述)の回答がもっとも多く、単身赴任や離婚を考えての別居婚だけでなく「親の介護」と答えた人が多くなりました。
別居婚をしたことがあると回答した既婚男女295人(男性190人・女性105人)に、別居婚を始めたタイミングを聞きました。(自由記述回答)
別居婚をスタートしたタイミングはさまざま。別居のまま入籍した人、子どもができてから、倦怠期を迎えてから、親の介護のためなど、あらゆる理由が挙げられました。
男女ともにもっとも多かったのは「転勤・単身赴任」など、仕事に関する理由です。男性はもちろん、女性でも自身の転勤を理由に挙げた人が多数。2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の影響で、別居婚に至った人も見られました。
中には、結婚後同居をしていたものの、喧嘩や借金などパートナーに対する不満がきっかけで別居を始めたという人も少なくありません。
お互いの生活リズムやペースを守るため、自ら別居婚を選択したという“円満別居婚”に至った人は少数派となりました。
実際に別居婚する人はそう多くありませんが、「自分もしてみたい」「自由そう」など前向きにとらえている人はたくさんいます。一方、身内や仲の良い友人が別居婚をするとなったとき、賛成できる人はどれくらいいるのでしょうか。
別居婚をしたことがあると回答した既婚男女295人(男性190人・女性105人)に、親戚・友人から別居婚を反対されたかどうかを聞きました。
295人中168人、半数以上が「反対されなかった」と回答。本人たちが決めたのなら、と反対されなかったケースが多いようです。
一方、「反対された」と回答したのは男女合わせて60人(20.34%)。また、「別居婚のことを伝えていない」と回答したのは67人(22.71%)でした。
<男女別の調査結果>
別居婚を反対されなかった割合は女性のほうが高く、反対された割合は男性のほうが高くなりました。「別居婚をしてみたいと思いますか?」の設問でも、女性のほうが別居婚に前向きだったように、身近な人が別居婚をすることになっても抵抗なく受け入れる人が多いようです。
<年代別の調査結果>
回答内訳は30代(72人)・40代(101人)・50代(122人)。
別居婚を反対されなかったと回答した割合が高かったのは50代(76人・62.3%)。別居婚のことを周囲に伝えていないと回答したのも、50代がもっとも高くなりました(35人・28.69%)。
30代は別居婚を反対された割合がもっとも高い結果に(21人・29.17%)。
別居婚したことがあると回答した既婚男女295人(男性190人・女性105人)に、配偶者とどれくらいのペースで連絡を取っているのか聞きました。
男女全体では「ほぼ毎日(97人・32.88%)」の回答が最多でした。僅差で「週に2~3日程度(94人・31・86%)」で、別居婚をしている人はこまめに連絡を取り合っていることがわかります。
<男女別の調査結果>
回答の割合に、大きな男女差は見られませんでした。
<年代別の調査結果>
30代(72人)は、「週に2~3日程度(29人・40.28%)」「ほぼ毎日(28人・38.89%)」の回答割合が最多。40代・50代に比べてこまめに連絡を取り合っています。
40代(101人)は「ほぼ毎日(35人・34.65%)」が最多回答、50代(122人)も同じく「ほぼ毎日(34人・27.87%)」が最多回答でした。また、50代は「それ以下の頻度(29人・23.77%)」と回答した人がもっとも多い年代。夫婦として過ごしている年数が長いことから、細かく連絡を取り合わなくても関係が成り立っていると思われます。
別居婚をしているとき、自分の家と配偶者の家がどれくらい離れていたのかを聞きました。
もっとも多かったのは「それ以上離れている」で、91人(30.85%)でした。僅差で「同じ市区町村内(89人・30.17%)」の回答が続きます。
「同じ敷地内」「徒歩圏内」のごく近距離で別居婚をしている人は全体の2割にも満たない結果になりました。
<男女別の調査結果>
男性でもっとも多かったのは「同じ市区町村内(63人・33.16%)」。女性は「それ以上離れている(37人・35.24%)」でした。別居婚を始めた理由に転勤や単身赴任を挙げた人が多かったことからも、遠距離で別居婚している人が多いことがうかがえます。
<年代別の調査結果>
| 30代(72人) | 40代(101人) | 50代(122人) |
同じ敷地内 | 7人(9.72%) | 3人(2.97%) | 8人(6.56%) |
徒歩圏内 | 8人(11.11%) | 10人(9.9%) | 8人(6.56%) |
同じ市区町村内 | 25人(34.72%) | 41人(40.59%) | 23人(18.85%) |
同じ都道府県内 | 17人(23.61%) | 18人(17.82%) | 36人(29.51%) |
それ以上離れている | 15人(20.83%) | 29人(28.71%) | 47人(38.52%) |
年代別で見ると、30代・40代は「同じ市区町村内」での別居、50代は「それ以上離れている」という回答がそれぞれ多くなりました。どの年代も同じ敷地内や徒歩圏内で別居婚をしている人は少数派となっています。
ここからは、「別居婚をしたことがある」と回答した既婚男女295人(男性190人・女性105人)のうち、有効回答と判断した282人(男性186人・女性96人)の回答をまとめます。
調査期間:2024年9月4日~2024年9月8日 調査対象:全国の30歳~59歳以下の既婚男女 調査方法:インターネット(アンケートサイトFreeasyを利用) 調査エリア:全国 有効回答数:282(男性:186人・女性:96人) │30代…68人 │40代…97人 │50代…117人 |
別居婚をしている人に、子どもがいるかどうかを聞きました。
子どもがいると回答したのは237人(84.04%)で、多くの人が子育てをしながら別居婚していることがわかりました。
<男女別の調査結果>
男女別の割合では、女性のほうが「子どもがいない(20人・20.8%)」と答えた人が多くなりました。
<年代別の調査結果>
年代別の割合では、30代・40代は「子どもがいる」と9割近くが回答。一方、50代になると子どもがいると回答した割合は8割を下回りました。
| 30代(68人) | 40代(97人) | 50代(117人) |
いる | 60人(88.24%) | 86人(88.66%) | 91人(77.78%) |
いない | 8人(11.76%) | 11人(11.34%) | 26人(22.22%) |
「子どもがいる」と回答した既婚男女237人(男性161人・女性76人)に、別居婚をしているとき、育児はどのようにしていたのかを聞きました。
7割近くが「妻が子どもと同居して育児(妻主体のワンオペ)」と回答。夫主体のワンオペや、夫が自分の実家で育児するなど、夫側がメインとなって育児しているという回答は少数派になりました。
<男女別の調査結果>
多くは妻側のワンオペですが、中には「夫が子どもと同居して育児(夫主体のワンオペ)(25人・10.55%)」と回答した人もみられました。
<年代別の調査結果>
どの年代も「妻が子どもと同居して育児」が最多。30代は「夫が子どもと同居して育児(9人・15%)」、40代は「妻が自分の実家で育児(11人・12.79%)」、50代は「その他(15人・16.48%)」と続きました。
<その他の意見>
50代になると、子どもの手が離れた状態で別居婚をしている家庭が多く見られました。
実際に別居婚をした・している既婚男女295人(うち有効回答282)に、「別居婚をして良くなかったこと・不満」について聞きました。
年代・性別を含めて総合的に多かったのは「特にない」でした。意外にも、別居婚について不満に感じた点はないという人が多いことがわかりました。
また、次いで多かったのは「費用」について。別居婚により家賃など生活費の負担が2倍になるため、男女ともに費用面に関する不満を挙げた人が多くみられました。
<男女別の調査結果>
妻と子どもが一緒に暮らし、夫が一人で別居している割合が高いこともあり、「子どもに会えない」「成長が見られない」など、子どもに関する意見を挙げた男性が多数。一方、女性は家事育児などの負担増を挙げる人が多くみられました。
また、男女ともに「喧嘩が多くなった」という意見も。すれ違いの生活で夫婦関係がうまくいかない機会が増えたようです。
<その他の意見>
別居婚をしたことで、お互いにさまざまな不満やストレスを抱えているようです。
最後に、「別居婚をして良かったと思うこと」について聞きました。
全体でもっとも多かったのは「時間」について。自由な時間が増えた、自分の時間が増えたという意見が最多でした。次いで「イライラしない」「ストレスが少ない」など、快適に過ごせたという意見が多数。別居婚によってお互いの生活リズムが守られていることがわかります。
<その他の意見>
「別居婚をしたことがある」と回答したのは、既婚男女3,000人のうち295人(男性190人・女性105人)で約1割でした。
実際に別居婚をスタートしたきっかけの多くは「仕事」によるもの。転勤や単身赴任により、意図せず別居婚という形を取った人がほとんどでした。
また、別居婚の経験がない男女に向けて別居婚をしてみたいかどうか聞いた設問では、「してみたい」と回答した女性が男性の2倍に。費用面、子どもへの影響などさまざまな影響を考慮しながらも、女性のほうが別居婚に前向きであることがわかりました。
今回は30代~50代の既婚男女を対象としたアンケート調査でしたが、10代・20代の未婚男女にも別居婚に関するアンケート調査を実施しています。
10代・20代の若者が別居婚についてどのようなイメージを抱いているのか、ぜひ本アンケートとあわせてご覧ください。
今回の調査について、データや詳細に関するお問い合わせからお願い申し上げます。