「事実婚」「同性婚」など、結婚にも多様性が叫ばれる中で注目されるのが「別居婚」です。
法律上では結婚しているものの、別々の場所で生活するという形の別居婚。夫婦それぞれの暮らしや生活スタイルを守りながら、夫婦としての絆を深めていく形です。
そんな別居婚について、10代・20代の若者はどう考えているのでしょうか。今回、全国の10代・20代の未婚男女3,000人を対象にしたアンケート調査を実施しました。
調査期間:2024年9月18日~2024年9月18日 調査対象:全国の15歳~29歳以下の未婚男女 調査方法:インターネット(アンケートサイトFreeasyを利用) 調査エリア:全国 有効回答数:3,000(男性:951人・女性:2,049人) │10代…745人 │20代…2,255人 |
まず、10代・20代の若者3,000人に対し、「別居婚」にどのようなイメージがあるのかを聞きました。ポジティブ・ネガティブな選択肢を用意し(複数回答可)、さらに自由記述でも回答してもらいました。
もっとも多かったのは「自由そう(1,150人)」という回答でした。
次いで「一人の時間を大切にできそう(960人)」「自立した生活ができそう(734人)」「お互いを尊重できそう(699人)」と、ポジティブな意見が続きます。ネガティブな意見でもっとも多かったのは「浮気・不倫につながりそう(570人)」でした。
男女別の回答について、多い順で並べ替えました。
【男性(951人)】
【女性(2,049人)】
男女では、女性のほうが別居婚に対してポジティブにとらえていることがわかります。一方、男性は「同居しないのはおかしい」「浮気・不倫につながりそう」という意見が多数派でした。
次に、10代・20代の未婚男女3,000人に対して「別居婚をしてみたいと思うか」を聞きました。
全体でもっとも多かったのは「どちらでもいい、相手に合わせる(868人)」でした。
次いで「いいえ(絶対同居がいい)(833人)」「いいえ(できるだけ同居がいい)(644人)」「はい(期間限定でしてみたい)(318人)」と続きます。
別居婚にポジティブなイメージを抱いていた人が多く見られましたが、実際に自分が別居婚をすると考えれば、敬遠してしまうようです。
別居婚について「絶対同居がいい」「できるだけ同居がいい」と回答した1,477人(男性:463人・女性1,014人)に対し、なぜ別居婚をしたくないと思うのかを聞きました。
最多は「一緒にいたいから(728人)」で、2位以下を大きく離す結果となりました。
次いで「夫婦は一緒に住むべきだと思うから(418人)」「寂しいから(406人)」「家族の絆が希薄になりそうだから(378人)」と続きます。
別居婚をしたくない理由について、男女別で多かった回答は以下の通りです。
【男性】
【女性】
女性は「一緒にいたいから」が過半数を超える結果に。回答の上位4つは男女で大きな差はなかったものの、5つ目は「早く子どもがほしいから」と回答した男性に対し、女性は「浮気されるかもしれないから」という理由でした。
別居婚をしたくない(できるだけ同居がいい・絶対同居がいい)と回答した1,477人に対し、もしパートナーから別居婚を提案されたらどうするのかを聞きました。
もっとも多かったのは「応じず、結婚をやめる(529人)」でした。次いで「応じず、結婚を先延ばしにする(448人)」「応じるが、条件をつける(380人)」と続きます。
「すぐ応じる(67人)」と回答した人は4.5%ほど。自分が別居婚を望まない場合、パートナーから別居婚を提案されても応じる可能性は低いと言えるでしょう。
<その他の意見>
その他の意見では、男女ともにまず話し合いをするという意見が特に多く見られました。また、パートナーがなぜ別居婚を望んでいるのか、その理由を聞きたい・理由次第で考えるという意見も。
別居婚をしたくない(できるだけ同居がいい・絶対同居がいい)と回答した1,477人に対し、もしパートナーから別居婚を提案された際、「どのような条件なら別居婚を受け入れるか」を聞きました。
別居婚を提案されれば無条件で応じると回答したのは、未婚男女1,477人中わずか90人(6.1%)でした。
もっとも多かったのは「別居の期限を決める(613人)」で、次に「毎日連絡するなどルールを決める(467人)」「別居の費用をすべて出してくれる(255人)」と続きます。
ただし、その他の意見では頑なに別居婚を受け入れないという意見が散見。どのような条件が出されたとしても、別居婚はしたくないという人は少なくありませんでした。
続いて、別居婚に前向きな姿勢を見せた人への質問です。
「絶対別居婚がいい(126人)」「可能なら別居婚したい(211人)」「期間限定でしてみたい(318人)」と回答した未婚男女計655人に、なぜ別居婚をしたいと思うのかを聞きました。
もっとも多かったのは「趣味など自分の時間を大切にしたいから(337人)」でした。
次いで「ストレスを溜めたくないから(319人)」「自分のペースで家事ができるから(222人)」「生活スタイルを変えたくないから(186人)」と続きます。
【男性(187人)】
【女性(468人)】
男女別で見ても、理由の順位は変わりません。結婚して同居すると、自分の趣味や帰宅時間、家事のペースなどで喧嘩になる可能性は少なからずあります。そのため、気を遣わずにいられる形として別居婚を望む人が多いようです。
実際に別居婚をすることを考えたとき、パートナーとはどれくらい離れて住みたいのかを聞きました。
「同じ地区(188人)」「すぐ隣の部屋や家(183人)」が僅差で並ぶ結果に。パートナーから口出しされない、自分のプライベートが確立された環境があれば、別居婚中の距離は気にしないと考えられます。実際、「距離は問わない(86人)」と回答した人も少なくありません。
ただし、男女別の回答を見てみると、女性は「同じ地区(144人・30.77%)」、男性は「同じ都道府県内(50人・26.74%)」がもっとも多い結果となりました。
別居婚中はパートナーとどれくらいのペースで会いたいのかを聞きました。
最多だったのは「週に2~3日(228人)」、次いで「週に1回程度(197人)」「月に2~3回程度(89人)」で、「毎日(63人)」と答えた人は意外にも少ない結果となりました。
また、「月1回程度(45人)」や、「それ以上の間隔(33人)」と回答した人も。別居婚に前向きな人は、相手への寂しさよりも自分の趣味や楽しみが確立されている・自立している傾向が考えられます。
ちなみに、男性は「週に1回程度(65人・34.76%)」が最多。女性は「週に2~3回(176人)」が最多となりました。
別居婚をしたい(絶対したい・可能ならしたい・期間限定でしてみたい)と回答した未婚男女655人に、別居婚中の生活費についてどのように考えているのかを聞きました。
男女ともに一番多かったのは「それぞれが別々に負担する(345人)」でした。
「別居婚を提案したほうが多く負担する(19人)」という選択肢も設けましたが、それぞれがきっちりと生活費を負担する、折半するというスタイルを望む人が多いようです。
別居婚したい(絶対したい・可能ならしたい・期間限定でしてみたい)と回答した未婚男女655人に対し、いつまで別居婚を続けたいと考えているのかを聞きました。
「子どもができるまで(156人)」「ずっと別居を続けたい(155人)」が僅差で続きます。ずっと別居したいと望む人が多い一方で、「別居期限を決めておきたい(140人)」と回答する人も多く見られました。
【男性(187人)】
【女性(468人)】
男女別で見ると男性は「仕事」、女性は「子ども」でそれぞれ別居の終わりを決めたい意向が見られました。
ここからは、「別居婚をしたい(絶対別居婚がいい・可能なら別居婚してみたい・期間限定でしてみたい)」と回答した未婚男女655人のうち、無作為に抽出した200人の回答についてまとめます。
調査期間:2024年9月20日~2024年9月20日 調査対象:全国の15歳~29歳以下の未婚男女のうち「絶対別居婚がいい」「可能なら別居婚してみたい」「期間限定でしてみたい」と回答した人 調査方法:インターネット(アンケートサイトFreeasyを利用) 調査エリア:全国 有効回答数:200(男性70人・女性130人) |
もし、自分が別居婚を望んでいるにもかかわらずパートナーや両親・義両親から別居婚を反対されたらどうするのかを聞きました。
まず、パートナーから反対された場合です。
もっとも多かったのは「条件をつける・誓約書を作る(64人)」でした。人によって条件は異なりますが、期間限定での別居婚や、浮気をした際の慰謝料といった誓約書を作るなどで別居婚を受け入れてもらうとのことです。
パートナーの意見を受け入れ、「諦めて同居する(61人)」という人も。
反対に、「できるだけ同居がいい・絶対同居がいい」と回答した人(1.477人)が、パートナーから別居婚を提案された場合は「応じず、結婚をやめる(529人)」という回答が最多でした。「応じるが、条件をつける(380人)」「すぐ応じる(67人)」を合わせると、パートナーからの提案を前向きに受ける人は447人で約31%という結果に。
続いて、両親や義両親に反対された場合です。
「無視して別居婚する(66人)」「説得する(64人)」と続き、お互いが納得していれば諦める必要はないという人が多数派になりました。
別居婚に前向きな人でも、少なからず不安に感じることもあるのではないでしょうか。
そこで、別居婚でどのようなことが不安に感じるかを聞きました。
もっとも多かったのは「すれ違い、コミュニケーション不足(76人)」でした。
次いで「浮気の心配(67人)」「費用がかかる(49人)」「家事、育児などのバランスが偏る(48人)」と続きます。一方で、「特に不安に思うことはない(38人)」という人も。
男女別で多かった結果は、以下の通りです。
【男性(70人)】
【女性(130人)】
女性はパートナーの浮気を心配する声が多く見られました。また、両親や友人など周囲が別居婚について理解してくれるかも挙げており、「祝福されたい」「納得して結婚したい」という考えが見て取れます。
最後に、別居婚をする場合にどのようなルールを設けたいのかを聞きました。
もっとも多かったのは「会うペースを決める(96人)」でした。
次いで「相手に干渉しない(85人)」「家事はそれぞれで行う(73人)」「異性を家に連れ込まない(72人)」と続きます。
別居婚中に会う頻度が「週2~3回」「週1回程度」と答えた人が多かったため、連絡はこまめに取る人が多数派かと思われましたが、「連絡は毎日する(48人)」は少数派でした。
男女別で多かった回答は、以下の通りです。
【男性(70人)】
【女性(130人)】
パートナーと程よい距離感を保ちながら、それぞれやるべきことは自分で行うという姿勢がうかがえます。
別居婚をしてみたいと回答した人は、10代・20代の未婚男女3,000人のうち約2割でした。
「自由そう」「一人の時間を大切にできそう」「自立した生活ができそう」など、個を大切にしたい人にとって別居婚は前向きなイメージと言えます。事実婚や同性婚が受け入れられつつある今、「新しい結婚スタイルだと思う」という回答も多く、肯定的に受け止める人が多いことがわかりました。
一方、いざ自分が別居婚をするかと問われれば後ろ向きになる若者も少なくありません。それでも、パートナーから別居婚を提案されればまずは話し合ったり、条件付きで応じたりする人も多く、パートナーを愛しているからこそ受け入れようとする姿勢が見て取れました。
また、後編となるアンケート調査では30代以降の既婚者に対し、別居婚に対するイメージや別居婚をしたくない理由などを調査。
さらに、実際に別居婚をしている・したことがあると回答した経験者に、家事・育児の分担や別居婚に関する不満、良かったことなども聞きました。
別居婚の「理想と現実」について調査・考察します。ぜひご覧ください。
今回の調査について、データや詳細に関するお問い合わせからお願い申し上げます。